「所長のこらむ」平成24年

「所長のこらむ」の過去掲載分です。

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平成24年

【20121016関東第1号//関財金1第970号】H24.12

2009年12月に制定された「中小企業金融円滑化法」を受け、金融機関からの借入返済に苦しむ多くの中小企業は、借入金の返済猶予を受け入れてもらい一息ついたのです。前号で取り上げた『リスケ』は借入返済計画の組み直しを意味する業界用語でした。

その『金融円滑化法』も来年3月で期限切れとなり、以後は『リスケ』は難しくなり、 該当する企業にとっては厳しい時代の到来となります。この事態に対応するために本年 8月末に成立した法律が「中小企業経営力強化支援法」で、会計や経営の専門機関(経営革新等支援機関) が金融機関と協力して渦中にある企業の再建支援するためにできた法律。

早速、松永会計では支援機関の申請を行い、11月5日に東海財務局長と関東経済産業局長の認定を受けることができました。
表題はその認定番号。
松永会計が経営革新等支援機関を目指した理由は、諸会議への参加を通して積み上げた中小企業への経営支援経験が、新しくできた枠組みの中で社会や関与先企業のお役にたてるのではないかと考えたからです。

【リスケ って知っていますか】H24.11

「リスケ」なる言葉が聞かれるようになって何年たつだろう。 銀行からの借入金の返済条件 (スケジュール)を変更する(リ・スケジュール)ことである。 リスケのリスケすらある。 最近になって増えていると の話を多くの金融関係の人たちから聴いた。それだけ現況が悪く、リーマンショックの傷跡が深刻であったこととなるのだろう。
リスケに関わる業務支援依頼が何度かあった。計画策定の支援と金融機関との交渉、その後のフォローをする。  作業中に気づいたことがある。経営者は己が為すべき事を見失っている。基本を見失っている。
何事にも基本があり、事業といえども例外ではない。自らが生み出したモノやサービスを購入してくれる顧客があって事業は成立する。 「そんなことは百も承知。お客様は神様だ!」「我が社が何をすべきかを決定するのは顧客だけである」等と言いながら、現実は我が社が売りたいものが先行し、顧客は欲しがっているハズだ、安いから売れるハズだ。等の勝手な思い込みが現実にある。 利益が欲しい、売上を取りたい、との思いが何かを狂わせている。
前月のコラムをそのまま引用する。  我が社の事業はなにかを決定するのは顧客の欲求である。  お客さんが必要とするモノを必要とするトキに届ける。  基本中の基本である。  我が社の顧客が欲しがるものは何か?  目的・目標は何か? 我が社が為すべきことは何か? をである。
顧客の欲求自分の欲求変質していないか?・・・考えて欲しい

【コミュニケイションについて】H24.10

コミュニケイションについて少し書かせてもらいます。
松永会計では、関与先企業の財務処理にとどまらず、得られた財務データをツールに、様々の形で企業へのアドバイスを行っています。
その一つに社内会議開催があり、経営会議あるいは役員会などを通して、情報を共有し意思疎通を図って経営の効率化を結びつけるのが狙いです。この社内会議で痛感するのが社内コミュニケイション不足・・・・「言いさえすれば社員はやる」と、大多数の社長さん(勿論・貴方は例外として)は期待(錯覚)します。残念ながら期待は100%報われません。残るのは「あんなに言ったのに・・・・」よく聞かされる台詞です。私の反問「あんなにって何回?」多分、多くは2回良くて3回か??
コミュニケイションの基本は【こちらの言うことを相手が聞き入れ、こちらの言う内容を理解し、同意して、行動を起こし、期待に答えて】初めて成立します。言うまでもありません。コミュニケイションの主導権は相手方にあります。
(貴方は例外として)誰もが経験した夏休みの宿題・・・夏休みの初日に、「宿題さっさとやりな」『解った』。これが40日間続き、やるのは31日。経験したよネ!

【未来は望むだけでは起こらない】H24.09

年度毎その他、折々に行われる計画策定。・・・気付いた事柄を少々・・・
計画は未来のために行われる。スタート時点では極めて楽しい作業となっている。来期の売上15%増・粗利益率2%アップ・経費削減・経常利益1000万 等々。発する声にも勢いがあり、表情も若々しい。・・・で 決算時点。あんなに勢い込んでスタートしたのに結果は散々。計画なんか在ったかナ~~・・・。
計画は立てただけでは達成はできない。理由ははっきりしている。多くの場合、計画を予測と取り違えていることにある。1年後には計画通りの未来があると勝手に思い込んでいる。気が付いていなくても潜在的にはそう思っている。だから、計画は楽しい。
計画は予測 (未来での可能性を探す努力)ではない。計画を必要とするのは未来が予測できないからです。企業の関心は未来の可能性を変えることにあり、企業が利益で報われるのは未来の状況を変えたことによって得られる。計画はそのためにあります。

未来は望むだけでは起こらない『明日何をなすべきかではない。不確実な明日のため今日何をなすべきか』『いま意思決定をし、行動しなければならない』

【続・組織社会】H24.08

何のために組織は存在するか? 組織は自らも所属する社会の欲求に応えるため。
社会は組織に対し貢献を求め、信頼に応えることを期待します。
現代では、組織は社会に向けての貢献によってのみ存続が認められる時代に入っていることを承知しておく必要があります。社会の期待に背く行為があれば、これに対する批判の眼は厳しく組織の存否すら決定する時代の到来です。
大津市での中学生自殺事件における学校・教育委員会・警察等々に対して向けられている社会からの批判は凄まじいものがあります。企業といえども例外ではありません。少し前の時代までは「ヤリテ経営」の典型だった「談合」は厳しく糾弾され、組織防衛に源を発する行為は組織の死命を制します。
『これくらいなら・・・』は通用せず、企業は倫理を問われる時代に入っていることを肝に銘じなければなりません。卑近の例で言うならば、赤字決算よりも、その事実を隠ぺい(粉飾)する行為のほうがリスクははるかに大です。
それで、松永会計ではどう対処するか・・・です。相変わらずですが、信頼性の高い決算書を提供し続け、金融機関とのチャネルを厚くする努力を重ね続けます。

【組織社会】H24.07

現代の社会は組織社会として進化を重ね、主な社会的課題は組織の手にゆだねられている。ひと一人の命とまでは言わないが、貴方や私の生活を含め、我々の社会の機能は組織の仕事ぶりにかかっている。
子供たちの教育ならば学校・学習塾。病気になれば病院に駆けつけるし、身辺の安全は警察や警備会社によって守られる。車の運転は自分で行うが、ガソリンはスタンドで購入しなくてはならないし、故障をすれば修理工場である。車そのものも自動車メーカーにより提供される。生きることの基本である衣食住にしても、デパート・コンビニ・住宅会社に代表される組織がなければ維持されない。
なにより現代人の典型(つまり 貴方であり私)は組織に属する被用者である。組織を通して働き、組織に生計の資を依存し、組織に機会を求め、社会における位置づけと役割を組織に見出す。今や我々は組織の中にドップリ浸かって生きていることを認識しなければならない。(ご推察通り・・・以上はドラッカーの受売り)。
例によって・・・ソモソモ論だが、何のために組織は存在するか???。
組織は自らも所属する社会の欲求に応えるため。といわれる。(以下続く)

【素朴な小企業 ③】H24.06

ドラッカー はアメリカの素朴なる小企業を評して
① 規模が小さすぎて有能な人材を持てない。
② 必然的に、一族のもので経営せざるを得ず、能力もないのに身内の者に経営を任せる。
③ その結果、思考が内向きとなり、外部の視点が欠けた独りよがりの意思決定が行われ、企業の存続に 関わる事態を招く。
と マア~~。 私の見るところ、アメリカに限らず日本でも・・・・地縁・血縁ガンジガラメノの日本では、更にその傾向は強いのでは・・・・とも思うデ、 どうする?
対策として会議方式(コレ 松永会計の売り)の充実。先ずは、経営者ではないスタッフに経営マインドの注入(ドラッカー教室の開催。 監査報告に絡めて経営的側面からのチェック。 オープンデスクを利用して経営的話題の取り上げ。会議議事録の作成能力向上 等々)。 どうやら少しずつ実を結びだしてきたとの手応えを感じている。 事務所内での話題でも、ポイントも外さず、きちんと整理された会話が多くなってきた。
次なる方策は、その成果を如何様にして皆様方に届けるか。発信力が伴わなければ、場合によっては誤解を招く。  もしも、お気に触るようなことがありましたら・・・ご容赦を。

【素朴な小企業 ②】H24.05

前回は、ドラッカー がアメリカの素朴なる小企業を評価して、①最低の士気・意欲 ②最悪のコミュニケーション ③最悪の組織構造を例に、ひどいコキオロシようを紹介した。「マネジメントに取り組まなければ、何時まで経っても今のままの素朴な小企業だ ヨネ。そればかりか、いつ倒産しても不思議ではない ヨネ」との警告と受け止めたい。
それでは、かかる素朴なる小企業の抱える問題点は何か。
ドラッカー(現代の経営〈下〉)によれば・・・小規模企業の問題点は
①規模が小さすぎてマネジメントが持てない。平たく言えば人材がいないヨ。
②一族のもので経営し、能力もないのにマネジメントの地位を与えている。
③企業トップの視野の狭さや外部との接触の少なさ。
の3点と、解決策として
(1)マネジメントの視野を広げるために外部の視点の導入(例・外部取締役会等)
(2)一族の者と一族以外の者とを差別せず同等にあつかう
(3)計画したり、考えたり、分析したりする時間を持つ。
を取り上げている。 日頃お付き合いをしている企業経営者の方達から発せられるメッセージから、私としても大いに同感するところがある。    で、どうするか?? は次回 。

【素朴な小企業①】 H24.04

ドラッカーを取り上げよう。「マネジメント」「ドラッカー」と くれば、大企業の世界と思われがちだが、どうして、ドウシテ。
? 著述「現代の経営」の中で小規模企業にだって触れている。・・・アメリカでは素朴な小企業に「士気・意欲」「コミュニケーション」「組織構造」の問題はないといわれている。残念ながらそれは全くの間違いである。の書き出しで以下に続く。
?
①最低の士気・意欲は、ワンマン社長がいかなる反対も許さず、全てを自ら行おうとする素朴な小企業の中に見ることができる。

②最悪のコミュニケーションも、全てを己の胸に納めてしまう素朴な小企業の社長の中に見ることができる。

③最悪の組織構造についても、社内でだれもが何種類もの仕事を担当し、そのため誰が何をしているかわからない素朴な小企業の中に見ることができる。

と、ひどいコキオロシよう。最低・最悪を被せる念の入れようだ。「マネジメントに取り組まなければ、何時まで経っても素朴な小企業のまま」と 言わんばかりである。 しかし、ヨクヨク考えてみれば フムフム、やっぱり! かも。
皆さん方はどう???

【小企業のマネジメント】H24.03

「上手に人を使える者は、人に対するのに決して偉ぶったりせず、腰の低さが身に備わっているものである。」
この言葉は『老子』の「不浄の徳」といわれる有名な言葉の中の一つです。
「不浄の徳」とは、自分の行為を触媒にして、相手の能力を最大限に活かし活用することです。他人を上手に使う者の基本的な姿勢は、ひとの先頭に立ってあれこれ指図したりせず、あくまでも下手に出て、相手の発奮を巧みに誘い出し、自分の思うような結果を出させることにあります。
「不浄の徳」として老子は表題の言葉以外に次の三つを挙げています。
「善く士たる者は武ならず」 立派な武人は、むやみに武勇を誇ったりせず、人前で強がったりはしない。
「善く戦う者は怒らず」 戦上手といわれる人は、安易に挑発に乗ったりせず、争いを避けることに腐心する
「善く敵に勝つ者は争わず」 戦いに勝つことをよく知っている者は、むやみに喧嘩腰になったりしない。
さて、貴方はどうでしょうか。

【天知る。地知る。我知る。】 H24.01

年末に机の中を整理していたら横須賀時代の古い写真が出てきた。小学校3年の中途まで横須賀市で暮らしていた我が家では、年に数回 それも数日程度しか戻らなかった父親に代わり、5人の兄弟姉妹を仕切っていたのは母親でした。腕白盛りの私たちが何か悪さをした時に、多くを語らず母親が発する一言が表題の言葉でした。正確には「天知る。地知る。我知る。子(ナンジ)知る。何をか知る者無しと謂(イ)わんや。」と続く。
後漢時代(1~3世紀・・三国志時代の前の時代)の文人政治家楊震(ヨウシン)が地方の任地に赴く途中。土地の有力者が二人になった機会をとらえ密かに差し出した賄賂を、清廉潔白な楊震がはねつけて言った言葉と伝えられている。(『資冶通鑑(シジツガン)』漢記)
ポイントは「我知る」の一言。他人はひとまずおいても この私が許さない。との決然たる態度である。
オリンパスや大王製紙をはじめ経済界に絡む不祥事が新聞紙上を賑わせている。ことは経営者としてのモラルの問題であるし、今流に言うならコンポライアンス(法令遵守)となるのだろうが、私にはそれ以前の本質的なものと映る。

松永文宏税理士事務所は
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TKC全国会
TKC全国会は、租税正義の実現をめざし関与先企業の永続的繁栄に奉仕するわが国最大級の職業会計人集団です。
東海税理士会所属

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